Miyashita Mariko

2010年3月アーカイブ

卒業式と謝恩会

昨日、3月25日は東京藝術大学の卒業式でした。

雨が降り、とても寒い日の門出でした。

そんな夜、学生さんの企画&招待の謝恩会にでかけてきました。今年の謝恩会は、なにやら華やかな銀座並木通りにあるバーレストランを貸しきりで行われました。

 

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>>>いただいたお花と卒業の記念品はこちらです。。。

 

毎年、卒業生がその学年の記念になる品をオーダーして配るのですが、今年はオリジナルのチョコタルトケーキでした。

 ・・・私の学年は、オリジナルの風呂敷を藍染したものでした。とても懐かしい思い出です。

 

タルトの表面には藝大の校章(アカンサスの葉に藝大の文字)が金箔押しされていました。

 

あっという間に3月も過ぎようとしています。

 

 

春はもうそこまで来ているのだと感じました。

 

春の院展

毎年、この時期になるとスクエア40号の作品を制作しています。

三越日本橋本店で開催される春の院展の出品の為です。

院展は毎回審査があり、全国から沢山の出品があり、審査を経て入選して始めて展示されるという厳しいものです。

なので、毎回締め切り前になると緊張しますし、不安になります。

 

今年の春の絵は、以前より取り組んでおります、建物のある風景です。パリ取材シリーズで、アンタントワーヌ教会という街中で見つけた小さな教会を題材にしました。

 

今年の春の院展も出品し、無事に入選が決まりましたのでご報告いたします。

お時間ございましたらお出かけ下さい。

 

***

 

第65回 春の院展

東京展

3月31日(水)~4月12日(月)

三越日本橋本店(催事場:入場無料)

長崎へ

3月12日から開催の長崎県美術館「再興第94回院展」初日レセプションに合わせて長崎へ行ってきました。

 

実は私は長崎生まれです。東京育ちなので東京出身と書かれることもありますが、長崎の十善会病院で生まれ、そのまま出生届けを長崎市で提出、お宮参りは長崎のお諏訪様に参った、という所まで長崎なのです。

 

長崎には祖母と親戚、従妹もおります。

 

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3月12日、長崎県美術館にて院展が始まりました。

長崎での展示は9年ぶり、新しい美術館(現在県美は5周年)になって初めて院展が開催されました。

 

この機会に私の絵も入選・巡回することになったことはとても幸運だったと思います。DSCN2414.jpg

初日は松尾敏男先生によるギャラリートークにて作品の解説がありました。

私の作品について話を振られたので、作品の解説を5分ほどしました。

 

美術館でのギャラリートークは初めてのことでした。大きな会場でギャラリーも沢山いてかなり緊張しました。

作品の解説と日本画の材料についてお話しました。

 

DSCN2404.jpg今回長崎展出席の大きな目標というか理由に、祖母に院展を見せてあげたいというのがありました。

 

祖母は足が悪く高齢の為、東京まで院展を見に来ることができません。

長崎には院展はなかなか巡回せず、また、その巡回に私の絵が入選するともわかりません。今回は全ての条件が揃った滅多に無いチャンスでした。

 

いつか長崎に私の絵が巡回し、それに祖母を招待して作品を見せたいという夢がありました。

DSCN2418.jpg今回、その思いが通じたのか、晴れて祖母に院展のあの大きな作品を見せてあげることができました。

 

絵を描いていて良かったと思った瞬間です。

 

>オマケ>>

展示の案内も終わり、飛行機の時間まで少しあったので、長崎を観光しました。

今回は長崎市永井隆記念館に行ってきました。

「如己愛人」「平和を」という言葉を残したことでも有名な永井博士の生涯に触れてきました。

 

己の如く人を愛せよ―

私もそんな生き方をしながら自分の使命を全うできたら幸せだなぁと感じました。

 

写真は如己堂(にょこどう)。2畳ほどの小さな永井博士の庵です。

 

・・・本当は春の院展の締め切り前で長崎に行くのに2日潰さなければならず、気持ちが荒れそうになっていましたが、そんなことも吹き飛ぶ心が充実した時間を過ごせました。

院展長崎巡回展

長崎県美術館にて院展の巡回展がありましたので、初日のレセプションに出席するために行ってきました。

長崎新聞に掲載、HPに動画がUPされていましたので、ご紹介します。

詳細は後日写真付きでレポートします。

取り急ぎお知らせまで・・・。

 

>本県で9年ぶり「院展」開幕(長崎新聞HP)

http://www.nagasaki-np.co.jp/douga/20100312/06.shtml

 

>再興第93回院展長崎展

 3月12日(金)~4月11日(日)

 長崎県美術館(長崎市出島町)

制作に没頭する毎日を過ごしております。(本当は、相変わらず締め切りに追われているだけ。)

そんな中、やはり制作の友といえば甘いものが一番です。

 

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制作の合間の糖分不足を補うのに銘柄モノのチョコレートをいただくのは、ただの栄養補給というより高級な楽しみになっています。(笑)

 

いつもパリにお仕事で行かれる方より、チョコレートをいただくのですが(いつもありがとうございます!)、今回いただいたのは「パリの石畳」のような一見なんの変哲もないチョコレートのブロックでした。

 

実はこれが見た目とは全くギャップのある様々な風味を持った個性的なものでした。

さすがはパトリック・ロジェ。日本では殆ど見かけることがない珍しい高級ショコラ。

まさに陣中見舞いとなりましたが、とても美味しくいただきました。

 

しばらくは制作バカな毎日ですが、小さな幸せを見つけて地道に頑張ろうと思いました。

 

HOME PARTY

先日、学生さんと予ねてより約束していたが果たせずにいた念願のホームパーティーをしました。1年も待たせてしまっていたのですが、気長に待っていてくれました。

 

DSCN2383.jpgこの日は総勢6名での食事となりました。

 

元々ホームパーティー好きで、来客があると何か振舞いたくなる性格なので、今回もナンダカンダで色々と用意をしました。

 

今回の献立は

生野菜と温野菜の盛り合わせバーニャカウダとクリームチーズのディップ

 

ガーリックトースト

 

鰻のちらし寿司

 

ワイン

 

で、あとは皆さんに持ち寄ってもらってお惣菜やらスイーツが並びました。

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今回、流行に流行っているバーニャカウダを作ってみました。

外食すると必ずオーダーするほど最近マイブームになっていたのですが、こんなにカンタンに作れる(しかも失敗がない!)なんて思いもしませんでした。

 

今回のレシピ・・・というかカンタンでしたのでご紹介します。自己流ですが美味しかったので是非。

 

①大量のニンニク(1コ半使いました)を半分にして芽をとって牛乳で下茹でする。

 (牛乳は下茹で後、捨てる)

②ニンニクを裏ごしし、アンチョビペーストと混ぜて生クリームと一緒に煮込む。

③刻んだオリーブを入れる。

これだけです。

本来ならば、オリーブオイルを入れて煮るのですが、ヘルシーさを追求(というか、私は脂がニガテなので・・・)してオイル抜きに。オイル抜きにした代わりに、香り付けでオリーブの実を入れてコクを出したということです。

 

コツとしては、良質の生クリームを使用することでした。動物性のかなり高級なとろみのあるモノを使用したら驚きの美味しさでした。

 

通常はアンチョビ缶で作るみたいですが、裏ごしするのが面倒なのでペーストを使用。そしたら、とても塩辛かったので、味付けは何もしないで済みました。

量は適当で、味を見ながら作るので十分おいしいものができます。

 

色とりどりの野菜(パプリカ2色・チコリ・レッドキャベツ・レンコン・スナックエンドウ・カリフラワー・ニンジン・ズッキーニを用意しました)をタップリ美味しくいただけるし、パーティー向けの料理だと思いました。

 

大人数のお役立ちレシピとしては鰻のちらし寿司もかなり好評でした。これは、以前教えてもらったものですが、それにアレンジを加えて香りよくしてみました。

 

作り方は・・・鰻はオーブンで焦げ目をつけてから刻み、炊きたてのご飯にタレも一緒に混ぜる。

トッピングで大葉を刻んだものと、白ゴマ、寿司生姜(ガリ)の細切りを混ぜます。

 

寿司生姜を用いることで、酢飯にしなくても酢の風味が活き、酢飯がニガテな人でも食べられると思います。

あとは金糸卵・刻みのりを散らせば出来上がり。

見た目も華やかで良いです。

 

 

そんなこんなで制作の合間の気分転換をたのしみました。

学生さん達、また遊びにきてもらえたら嬉しいな・・・と思いました。

 

芸大で私の担当の仕事だった日本画用語事典の英語版が2月28日に発行しました。(巻末のEditorsの欄に MIYASHITA Mariko とあります!)

 

An Illustrated Dictionary of Japanede-Style Painting Terminology

 

DSCN2386.JPGこの本の大元は3年前に研究室が14年の歳月をかけて出版した専門書です。

それをグローバル化を考えて英語版の出版を計画し、科学研究費の学術公開促進費に採択され出版することになったものです。

 

1年目は科研費の申請書類を作成して採択、その後原稿を差し替える部分を打ち直ししてアメリカ在住の翻訳家と連絡を取り合い、2年目に校閲担当者や出版社と打ち合わせを重ねるなど調整や取次ぎをし、3年目は校閲者と一緒に翻訳を入念にチェックして専門書をあさったり校正しDSCN2389.JPGたりしていました。・・・かなりの過密スケジュールでした。

 

日本画は日本特有のものです。

それを他言語圏の人に理解してもらう為にどんな形にしたらより理解されるかを考えながら手を加える作業はことのほか苦労や様々なことを考える必要がありました。

 

言葉とイメージというのは必ずしもイコールになりません。

その誤差を少なくするために様々な専門家の方の意見を聞くことになりました。

 

 

苦労POINTSとしては、そもそも日本固有のものですから、オリジナル英文をつくるという感じでした。

現時点でも日本美術に関する英訳は多くありますが、それらはローカルルールで正解があるわけではありませんでした。それをより理解しやすいものを選び出す(或は新たに作る)ことから始まりました。

それ以外では中国語から起因している言葉が以外と多く、それをピンイン(中国語表記の英訳)にしたり、植物の名前は学名を用いたり、日本人として日本語を目にしている時には全く意識していなかった問題に直面して大変も大変でした。

日本語では曖昧な表現でも英文ではかなり言い切らねばならず、元の日本語の見直しが必要な状況においては日本語自体の意味をもう一度考え直さなければならず、考えれば考えるほど「これってどういう意味だ・・・?」と日本語なのに意味が分からなくなることもありました。

 

おかげでいい勉強になりました。

 

出版されて完成という形になりましたが、ここからがスタートかもしれません。

この本を手にした多くの方からまた様々な意見が出てくることと思います。それをまた反映させてブラッシュアップしていければこういう研究書・専門書はよりよいものになっていくと思います。

 

そんな問題提起の一石を投じたというか、形は出来上がっていますが、決して完成ではないと思います。

 

また次の一歩につながっていけば幸いに思います。

 

高価な本ですが、専門家の方や学生さん、多くの方の手に渡ればと思います。

 

 

 

An Illustrated Dictionary of Japanede-Style Painting Terminology

図解日本画用語事典(英語版)

2010年2月28日初版第1刷発行

監修 平山郁夫 渡邊明義 田渕俊夫 宮廻正明 荒井経

編集 東京藝術大学大学院文化財保存学日本画研究室

10,500 (本体 : 10,000)

*芸大アートプラザ等で購入できます。

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