Miyashita Mariko

8月の行事

秋の院展の制作真っ只中にPCがクラッシュしてしまい、制作がひと段落するまでPCをいじることができずにおりました。
状況は未だに解決したわけではないのですが、なんとかBlogをUPできる状況になりました。
PCは8年使ってるのでそろそろ寿命が来ても仕方がないかな・・・と思っているのですが、長年苦楽を共にした相棒ですのでそう簡単に買い替える気にもなれず、どうしようか考え中です。

そうこうしているうちに、秋の院展の制作も終了しました。
搬入翌日というのは気もそぞろなので、一日 目一杯外出と決め込んでいます。

昨日はそんなわけで八ヶ岳の方へ朝から出掛けていました。
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兼ねてより探しに探していた彫刻家具作家・田原良作さんの工房にお邪魔しました。

私が初めて銀座で個展をした時のギャラリーにおかれていた応接セットや家具が田原良作さんの作品だったのですが、その頃からずっと気になっていました。ただ、当時はとても入手できる状況ではなかったので、そのまま聞かずに年月が経過してしまい、その作品についての情報が全く分からないままになっていました。
最近になって、あの頃のあの作品がとても気になり、ずっと探していました。
ようやっと田原さんの作品であることがわかり、ここまで辿りつくことができました。

 
ギャラリーで沢山の作品を見せていただき、触ったり座ったりさせてもらい、田原さん本人にもお会いできて沢山お話を伺うことができ、とても嬉しい一日でした。ついでに工房まで案内していただきき、さまざまな木材や、それが形になる所まで見せてもらいました。

元々田原さんは純粋芸術の彫刻家で、インダストリアルではないものを制作していたそうですが、現在のスタイルになるまでのお話しはとても興味深く、人生の重みを感じました。



 
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>>田原さんのひじ掛け無しの代表作である「りんご椅子」

概ね椅子というものには体を支える為に背もたれやひじ掛けがついていますが、これはそういったものをすべて排除し、支え無しに人間が本来持っている体の機能を最大に引き出して背筋をまっすぐに保ち座ることができる椅子です。

良い姿勢が保たれるということは、周りからの支えで成り立つのではなく、座る本人の体が一番の支えになっているということ。尚且つそうやって座ることは長く座っていても疲れないという、なんとも哲学が詰まった椅子なのである。

初めてこの椅子の原型を作った時は、雪の上にポンとお尻を置いて、そのくぼんだ形を手ですくい取ったような形状からスタートしたと伺いました。


道具としての椅子ではなく、座ることを愉しむ椅子、見ていると触りたくような椅子、そんな椅子を見てきました。

椅子といえば何も考えないでいればただの腰掛。道具であり、同じ型から生まれた工業製品もある。

しかし、田原さんの作品をみているとそれがすべて覆されてしまい、一点一点が生き物のようにうごめいて息をしている。それぞれ個性があり、温度がちがい、話しかけてくることも違う。

そんなやわらかな生き物を一つ私のアトリエに置くことにしました。


やわらかなフォルムはいつまでも撫でていたい丸みを帯びています。
「こんなに撫でまわしていたら汚れてしまいませんか?」
と聞いたら
「撫でていた方が埃も汚れも付かない。むしろよく使って頂いた方がいいツヤが出て味も増すものです。そういう風に、木の持つ強さ・・・天然の色やその素材の特性を生かした作り方をして仕上げていますから。」
と言われた。
高精度の工業製品に勝る手わざの極みを垣間見た気がしました。

初めての個展会場に置いてあった椅子。その思い出と初心を忘れない為に大切にしたいと思います。


田原良作の良工房
〒408-0033
山梨県北杜市長坂町白井沢2484
TEL:0551-32-7155

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