Miyashita Mariko

和紙文化研究会10月例会

昨日は和紙文化研究会の10月例会があり、出席しました。

DSCN3734.JPG今回の第245回例会では、東京藝術大学日本画第二研究室教授、関 出(せき いずる)先生にお越しいただき、「絵画組成物「膠」について」という講演でした。

 

最近、「和膠」の生産終了(廃業)に伴い、膠に関する様々な勉強会があります。

 

>>今回は、関先生のコレクションする様々な膠の原料サンプル、それらを元に作られた膠(関先生お手製も含む)、絵画にまつわる材料や原料をお持ちいただき、一堂に並べての講演でした。

その量の凄さに驚くばかりで、これまで絵画材料として見聞きしていたものの、現物を見たことがなかったものをすべて並べられ、眼福極まりありませんでした。

  

>>講演前に先生のお手伝いをしてサンプルを並べる作業は1時間かかりました。

  

 

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中には初めて見るものも沢山あり、コンテナから出して並べる都度に先生に「これは何ですか?」と聞かずにはいられない状況でした。

それに対して先生は丁寧に説明をしてくださり、講演前に個人授業を受けてるようで、楽しかったです。

 

今回の講演では膠だけではなく、媒材(バインダー)として使える原料も沢山見せていただきました。

 

珍しい原石や鉱石、動植物といった日本画の世界ならではの「天然」の世界が広がる様子はただただ感動でした。

 

>>先生から沢山のお話しを伺う中で、ポロっと「学生時代にこんな授業を受けたかったな~」と言ってしまいました。

 

関先生は学部2年生の頃の担任の先生でした。

 

 

DSCN3751.JPG先生には1週間の東北写生旅行に同行していただき、青森の八甲田山が見える麓から奥入瀬を歩いて十和田湖までスケッチしながら下るという、今思えばとても贅沢な写生旅行をした思い出があります。

 

夜、旅館を抜け出して(←全員)、先生と地元のスナックのようなところに行ってカラオケやったりお酒を飲んだりしたのもいい思い出です。

先生はとてもお酒が強かったです。

なので、色々教わったのは技法や材料というより、人生のイロハ的なものの方が多かったようです。(笑)

 

>>穏やかな語り口調で材料や原料の話をしている姿は10年以上前にお世話になっていた頃と全く変わらず、相変わらずユーモアのある楽しいものでした。

 

とても知識豊富で穏やかな先生ですが、兎角研究に関しては厳しい一面を持っているところもありました。

大学の紀要に投稿した際、査読があったのですが、何遍書いても赤入れが減らないものがあり、最終原稿の前に参考文献の一覧と手書きのコメントが大量に添付して届いたことがありました。

覆面のレフェリーなのに、それで関先生であることがすぐにわかりました。

 

博士論文の審査が通った後に先生にお会いした時には

「夜に深々と静かに降る雪のような人になりなさい。雨戸を叩くような大きな音を立てて降りしきる雪は積もりません。朝、雨戸を開けて一面の銀世界を作ることができるのは静かに降る雪ですよ。」

と言って下さったこともありました。

 

大学卒業後何年も経ちますが、こうやってまたお会いしてお話ししたり交流があることはとても幸せなことだと思いました。

 

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