昨日、膠文化研究会のワークショップに行ってきました。
現在、伝統製法による三千本膠(和膠)の製造元の廃業に伴い、日本画家だけではなく三千本膠を使用する多くのユーザーが代替品に移行せざるを得ない状況になってきております。
これは兼ねてより危惧されていたことではありますが、日本画を描く上でなくてはならない媒材(接着剤)がなくなるということは画家にとって大問題です。
店頭に並んでいるのを当たり前のように買っていた時代はもう終わり、自分自身で材料についての知識や用法を見出さねばならず、こういった状況下において「膠文化研究会」という会の発足により膠について色々と勉強できる機会が与えられたことは大変有意義なことでした。
今回の研究会のワークショップは「日本画科」のある教育機関の指導者及び、膠と関わりの深い専門家(修理修復従事者、書道家など)といった限定条件のついた招待者が参加できる貴重な会でした。
和膠に関する講演・報告と試用実習が主な行事内容で、製造元や製法の異なる6種類の膠をそれぞれテストしてみるという、個人でやるには手間のかかる実験をさせていただきました。
やはり、いつも使っている三千本膠と他のものは使い勝手や風合いが異なり、自分にあったものを見つけて使いこなせるようにならなければならないなぁ・・・と思いました。
日本画は、天然・自然の材料を相手にしています。
理由や原因はともあれ今後、「当たり前にある」というのがまたどんどん減ってくると思います。
そのことに対して決して無関心であってはならないというのが、日本画を扱う人間としての義務であると思い、今後も材料や技法についての研究・実習は怠らないようにしなければ・・・と改めて思うのでありました。
まずは今ある「当たり前」に感謝しつつ、それに傲慢になることなく大切にしていきたいと思います。