日本画に適した基底材は作品によって和紙だったり絹本だったりします。
その中でも和紙というものは多種多様なものがあります。作品によって和紙を選ぶことは制作の第一歩になります。
一般的に使用されるのは越前の「雲肌麻紙」という厚手の日本画用紙があり、日本画を習い始めた学部の頃から慣れ親しんだ和紙と言えます。
これ以外にも日本画に適した紙はあり、作家の好みで選ばれて使用されています。
>>今回の制作には高知で漉かれた楮の厚紙を出してみました。
去年、高知県立紙産業技術センターに行った際に和紙組合の方から「日本画に合うものを」ということで開発された紙があると紹介されました。
しかも、青年会が率先して製紙しているということで、若い力で和紙を盛り立てようという意気込みのこもった和紙でした。
まだ市場に流通するほどはないそうですが、高品質少量生産ということで、肌理の整った美しい和紙でした。
天日に晒した美しい楮の白色は他では見ない風合いとあって、この紙を生かした制作ができるのかという不安と、あまりに美しかったので手を加えることができませんでした。
今回、その紙をやっと使ってみようとドーサ引き(にじみ止め)をしてみました。
まだ名もない高知産楮紙(日本画用)ということで、組合の方と「名前は何がいいでしょうかね?」というお話しをしてて、いくつかアイデアを出しました。
高知~にまつわる和紙の名前があるものは「高知麻紙」、「土佐麻紙」というものがあり、これらも日本画用紙です。それらと区別できるように地名「土佐」+日本画用紙という意味で「画紙」はどうかと。シンプルだけど意味が通じるものがいいですね・・・と言って発送してもらったところ、伝票に「土佐画紙」との名前がついていました。
なんと、命名してしまったようです。
この紙を使いこなせるかわかりませんが、若い力で作られた精魂込めた美しい紙を生かした制作ができるよう頑張ってみたいです。
そして、若い紙漉きさんが「日本画用に」と作ってくれた気持ちに感謝して、高知の紙産業の発展のために多くの方にこの紙を知ってもらえたらと思いました。