>>「最後の晩餐」のあるサンタマリアデッレグラッツエ教会と奇跡の一夜
ミラノに行くなら一生のうち一度は見てみたいと思っていた不朽の名作、かの有名なレオナルド・ダ・ヴィンチ「最後の晩餐」。
実は事前に調べてみたところ、これを見るのは至難の業となってしまっていました。
大規模修復後の「最後の晩餐」は、完全予約制、人数制限が厳しく管理され25名ずつ15分のみというチケットを事前購入しなければ見ることができないというものでした。
イタリア入りする前に調べたところ、私がミラノに入る日は繁忙期だったのかインターネットによる予約販売分は2ヶ月前から予約できるというその時点でSOLDOUT状態。
ツアコンデスクにも現地ガイドにも依頼してみましたが、満足する回答が得られず、とりあえずミラノで指をくわえたまま2日間を過ごすのかと半ばあきらめていました。
日本から自力でチケット入手はこちらから>>
ミラノに来てからなんとなく、現地で電話かけてチケットとれるんじゃないか?と大それた根拠のない自信(?)というか、もうミラノに来てしまったし後がない!という焦燥感からか、ミラノ滞在ラスト1日の前日に予約センターに電話をしてみることにしました。
これでダメならあきらめもつく・・・ということで、ダメモトで「最後の晩餐」に最後の懸けをしました。
滞在していたホテルから電話したのですが、まずは予約センターの電話がつながらないという状態でした。
いわゆる「ただいま大変電話が込み合っております、しばらくしてからおかけなおしください・・・」的なアナウンス(←イタリア語なので本当にそういう意味なのかは分かりません。笑)が流れていました。
これにメゲずにこの意味の分からないイタリア語のアナウンスを10分ほど聞き続け、やっとチケットセンターのオペレーターと対話できるような雰囲気のアナウンスに変わりました。
イタリア語で覚えていたのは「Cenacolo Vinciano」という「最後の晩餐」という意味の言葉だけ。兎に角、イタリア語のアナウンスの中から、注意深く何度も聞いていると「イタリア語の方は*1を、英語の方は*2を押してください」という内容を聞き取ることができました。
そこですかさず*2を押すとルルー、ルルーという呼び出し音、そして英語のアナウンス・・・ではなく、オペレータにつながりました!
ここは「Cenacolo Vinciano」のチケット取れる電話ですか?と何度も尋ねると「そうです、そうです、"the Last Supper"のチケットです(←ここでイタリア語ではなく英語になったと判別)」と生身の人間が応対してくれてることに、安堵しました。
つながっただけではダメ、そこから交渉しました。
***
明日のチケット取れますか?
>いや、もう予約でいっぱいです。
明日、どうしても見たいのですが。
>だから、もう受け付けられません。
日本からきて、もう明日しかありません。
***
ここから記憶にないのですが、ものすごい勢いでどうしても見たいという懇願をして食い下がりました。
その勢いに負けてか、私の言葉に割って「わかった、わかったよ、いつでも時間良いというなら午後5時に特別に手配するよ」という言葉。
耳を疑い、何度も「本当か?」と聞き返し、歓んでReally?だのAmazing!!だのIs that true?!だの言いまくってたらオペレーターに「大丈夫か?」と笑われました・・・それくらい狂喜乱舞する勢いでした。
海外で使える携帯電話もなく、ホテルからの電話だったのでバウチャーの手配には手間がかかりましたが、電話でチケット代金を決済して、予約番号を聞いて、それを当日受付に言えばいいようにしてもらいました。
予約番号を間違いがないように2回も言ってたしかめ、お礼を言って電話を切ると、体中の力が抜けて涙が出てきました。
―やっと会える。
>>当日、カウンターで予約番号を告げるとカウンターのお姉さんから笑顔でチケットをいただくことができました。
そして"世界一美しいイエス様"といわれている「最後の晩餐」を食い入るように見ました。
人間の感情を全て表現したと言われている使徒たち、手の仕草や体の動き、画面構成と配色の妙、そして何より美しい面立ちのイエス様。こんな穏やかで優しいお顔のイエス様は他に見たことがありませんでした。
15分はあっという間でした。
「最後の晩餐」を見たい場合は最後まであきらめないこと。
前日の予約センターの終了1時間前でしたが、電話してみて交渉して懇願してみると案外うまくいくかもしれませんね。
・・・ということで、もし、ミラノであきらめそうになっても是非、トライしてみる価値はあると思います。
まぐれかもしれませんが、幸運にもチケットを入手できたということはとてもいい経験になりました。
夢のような時間は今回のイタリア取材旅行を締めくくる一番のご褒美のようなひと時でした。