今年の猛暑の間はずっとアトリエに籠りきり、秋の大作の制作に追われていました。
秋の院展のサイズは150号程ありますので、アトリエが足の踏み場もないほど絵で一杯になります。
締め切り搬入日の朝は特に早起きです。
夜中まで制作していても、夜明けと共に飛び起きてまた絵の前に佇んでしまいます。
どこか描き足りないところがないか、おかしなところはないか。
ギリギリまで手を動かし続けています。
時間がきてどうしようもなくなるまで、心が焦り続ける。
締切の朝はいつも特別です。
もう終わりなのに終わりたくないような。
そんな風にして制作していた最新作の展示が始まります。
今年の作品は昨年訪れたベルギーのオステンドのハーバーを描いています。
ブリュッセルからローカル線に乗って北の外れの終着駅まで行って見ました。
そこは北海が広がる港町。
沢山の船が停泊していて、そのマストが無数に空へとのびていて、そこからピンと張られたロープが美しい竪琴のようでした。
時折海風が波のリズムに合わせて吹き込むたびに、そのマストとロープを奏でるのか低いやさしい音階が聞こえてくるような感じがしました。
そんな物語が始まるような風景を描いています。
沢山の舟とマストとロープを表現するのに無数の弦が交錯する構図に苦労しました。
2015年院展出品作 「風奏の竪琴」(フウソウノタテゴト)です。
お時間ありましたら是非ご高覧ください。
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再興第100回院展(秋の院展)
平成27年9月1日(火)~9月16日(水)
〈9月7日(月)は休館日〉
会場:東京都美術館(上野公園)
ロビー階第1展示室~第4展示室
主催:公益財団法人 日本美術院
後援:台東区教育委員会
入場料(税込) : 一般900円
(16日は午後1時30分までの入場、午後2時30分閉場)
※再興第100回を記念し、再興第39回から本展までの全作品集表紙絵計62点を特別展示します。