世界遺産のフランス・ノートルダム大聖堂が火災に見舞われました。
とてもとても悲しいことで、何度となく取材で訪れて作品に残しているだけに胸が締め付けられるような思いでいます。
特に私が美しいと思い、気に入って描いていたのはこの尖塔の見える裏側からの風景でした。
そのほとんどが木造であったために焼失してしまったようです。
文化財の火災と言えば、修復中(現状模写作業)であった法隆寺の金堂の火災事件を思い出しました。
1949年に焼失してしまい、現在の金堂は修復可能であった箇所を残して再建し、修復できなかった残骸は別棟に保管しています。学生時代その保存環境調査に行きました。
日本で最も有名かつ重要、そして世界遺産でもある法隆寺。
この事件の翌年1950年に文化財保護法という法律ができ、現在多くの文化財が護られるキッカケになったと言われています。
今残っているものをできるだけ後世に伝えられるよう、今できることはなにか。
文化財を失うということはそれまで保存されてきた長きにわたる歴史時間を失うことになります。
モノのカタチも失うが、時間を失うことはもうどうしたって取返しがつかない。
遺されたものを大切に思い、護るべきものをしっかり護り伝える。大聖堂にただ心から祈りを捧げて。